ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい企業に融資することで、利息を得る投資方法です。
手間をかけずに、比較的高い利回りが期待できます。
しかしソーシャルレンディングでは、必ず儲かる保証がなく、大損してしまう可能性もゼロではありません。
「ソーシャルレンディングは危ない」「ソーシャルレンディングはやばい」などと言われてしまうことがあるのは、やはり投資である以上、一定のリスクがあるからです。
今回はソーシャルレンディングの仕組みと、メリット・デメリットを解説します。
ソーシャルレンディングを始める前に、リスクを十分に理解しておきましょう。
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ソーシャルレンディングとは
ソーシャルレンディングとは、「お金を貸すことで利息を得たい投資家」と「お金を借りたい企業」を、インターネット上で結びつけるサービスです。
「融資型(貸付型)クラウドファンディング」とも呼ばれます。
個人にとっては投資の一種であり、企業にとっては資金集めの手段です。
ソーシャルレンディングの仕組み
まず企業がインターネットのソーシャルレンディングサイトで、多数の個人投資家から資金を募ります。
個人はその中から支援したいと思う企業を選び、ソーシャルレンディングのサイトを運営している事業者を通じて、お金を貸します。
お金を借りた企業は、元本と利息をソーシャルレンディング事業者に返済します。
ソーシャルレンディング事業者は返済された元本と利息を、投資した金額に応じて、各個人へ分配するという流れです。
投資家にとっては、約1万円程度から貸付できる、比較的高い利回りで定期的に配当金を受け取れるといったメリットがあります。
株やFXのように、値動きを細かく確認する必要がない点も魅力です。
しかし予定利回り通りに運用できるとは限らず、元本の保証もありません。
投資したお金より、戻ってきたお金が少ないという事態に陥るリスクがあります。
企業にとっては、銀行からの借り入れが難しい場合でも、必要な資金を調達できる点がメリットです。
代表的なソーシャルレンディングサービス
ソーシャルレンディングは、インターネット上のソーシャルレンディングサービスに会員登録すると始められます。
日本では、「Bankers (バンカーズ)」「クラウドバンク」「LENDEX」などが有名です。
また、海外では「Lending Club」や「Prosper」などが利用されています。
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ソーシャルレンディングとクラウドファンディングの違い
ソーシャルレンディングは「融資型(貸付型)クラウドファンディング」とも呼ばれている通り、クラウドファンディングの一種です。
クラウドファンディングには、次の3種類があります。
- 購入型クラウドファンディング:
- 支援者は商品やサービスを購入する形で、プロジェクトを支援します。
- リターンは商品やサービスであり、金銭的な見返りはありません。
- 寄付型クラウドファンディング:
- 支援者はプロジェクトに対して、お金を寄付する形で支援を行います。
- 通常、寄付型では商品やサービスなどのリターンがありません。しかしお礼として手紙や写真などが贈られることもあります。
- 社会貢献性の高いプロジェクトが多いです。
- 融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング):
- 資産運用を目的とする個人投資家から、事業者が小口の資金を集め、まとめて企業や個人に融資する仕組みです。
- 個人は融資先からの返済と利息によって、金銭的なリターンが得られます。
ソーシャルレンディングは投資
融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)と、購入型・寄付型クラウドファンディングの大きな違いは、目的です。
購入型・寄付型クラウドファンディングには、「個人やプロジェクトを支援したい」という想いで参加します。
金銭的な見返りを求めて支援するわけではありません。
一方ソーシャルレンディングは、利息による利益を見込んだ投資活動です。
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ソーシャルレンディングの種類
ソーシャルレンディングには3つの種類があります。
- ファンド型
- マーケット型
- オークション型
①ファンド型
「ファンド型」は、日本のソーシャルレンディングで主流となっている形式です。
具体的には、ソーシャルレンディングサービスの事業者が一般の投資家から資金を集めて、企業に融資します。
そして、その企業が利益を生むと、投資した資金に利息を上乗せして、投資家に返済される仕組みです。
ファンド型ソーシャルレンディングでは、あらかじめ予定利回りや企業情報がファンドごとのページに掲載されています。
そのため、投資家が自分で融資先の情報を収集したり、金利を決めたりする手間が不要です。
初心者でも始めやすいタイプのソーシャルレンディングだといえます。
②マーケット型
二つ目は「マーケット型」です。
まずソーシャルレンディングサービスの運営会社が、資金を借りる企業を厳しく審査します。
審査される内容は、企業の詳細情報、経営者の個人情報、そして欲しい融資額、信用情報機関のデータなどです。
審査結果に基づいて、企業の信用格付けが行われます。
融資をする側の投資家は、この信用格付けを参考にしながら、どの企業にどれだけの金利で融資を行うか決めることができます。
ただしマーケット型ソーシャルレンディングは、その名の通り市場の供給と需要により金利が変動するため、希望通りの金利で貸し付けられるとは限りません。
融資希望者がたくさんいる場合、より低い金利を提案した投資家が優先されるシステムとなっています。
③オークション型
三つ目の「オークション型」では、投資家に金利を競争させます。
一番低い利率を提案した方が、投資のチャンスを手に入れる仕組みです。
時には複数名が投資のチャンスを手に入れることもあります。
借り手企業側は、自社の信用力をアピールし、それによって低い金利で資金を集めることが可能です。
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ソーシャルレンディング:投資家にとってのメリット
ソーシャルレンディングが注目されている理由は、企業と投資家の双方にメリットがあるからです。
まずは投資家にとってどんなメリットがあるのか、見ていきましょう。
- 少額投資できる
- 予定利回りが高い
- 短期運用できる
- 手間をかけずに運用できる
少額投資できる
ソーシャルレンディングでは、1万円程度から投資できます。
投資額が大きいと、失敗したときに失う金額も大きくなってしまうので、「怖い」「始めにくい」と感じる人も多いでしょう。
しかしソーシャルレンディングなら、無理せず少額から始められる点がメリットです。
予定利回りが高い
ソーシャルレンディングで投資をスタートするとき、まず気になるのは利回りでしょう。
各ソーシャルレンディングサービスでさまざまなプロジェクトの予定利回りを見てみると、相場は大体3~7%ぐらいです。
低いと2%程度、高いと10%を超える案件も見受けられます。
ソーシャルレンディングの利回りは、さまざまな投資・資産運用方法の中でも、高めです。
- 国債や定期預金…0.1%未満
- 株式投資の配当利回り…2~3%
- 不動産投資…3~4%
短期運用できる
ソーシャルレンディングでは、3ヶ月~1年ほどで運用が終了します。
比較的短期で結果が出る投資方法です。
債券投資も企業、自治体、国などにお金を貸して利息を得るという点はソーシャルレンディングと似ています。
しかし2年~40年といった長期で運用をおこなう性質上、資金拘束の期間が長いです。
一方、ソーシャルレンディングなら投資したお金が長期間拘束されない、気軽に始めやすいといったメリットがあります。
案件ごとに運用終了までの期間は異なるので、いろいろな案件を比較して、自分のスタイルに合ったものを選んでください。
手間をかけずに運用できる
ソーシャルレンディングでは、好きな投資先を選んで運用を開始したら、あとは基本的にほったらかしで運用をおこないます。
たとえば株式投資やFXでは、日々の値動きをチェックし、投資先の決算発表や経済の動向に気を配るなど、さまざまな情報収集が必要です。
また、売買のタイミングも自分で判断する必要があります。
しかしソーシャルレンディングでは、満期になるまでずっと放置するだけでいいので、このような手間がかかりません。
値動きの確認や売買のタイミングの判断などは不要です。
関連記事:仮想通貨の始め方!必要な資金や取引の流れを初心者向けにわかりやすく解説
ソーシャルレンディング:企業にとってのメリット
ソーシャルレンディングを利用して企業が資金を集めるメリットは、次の通りです。
- スタートアップ企業でも資金を調達しやすい
- スピーディに資金調達できる
スタートアップ企業でも資金を調達しやすい
一つ目のメリットとして、「スタートアップ企業でも資金を調達しやすい」点が挙げられます。
銀行から融資を受ける場合、売上や設立してからの年数など、さまざまな項目をチェックされます。
過去の実績が乏しいスタートアップ企業やベンチャー企業は、なかなか思い通りにお金を借りられないというケースも。
ソーシャルレンディングにも審査はありますが、過去の実績が少なくても、返済能力やビジネスプランが認められれば資金調達が可能です。
スピーディに資金調達できる
また、「スピーディに資金調達できる」点も大きなメリットです。
銀行等の金融機関から融資を受ける場合、すぐに資金を手にすることができるわけではなく、審査に時間がかかります。
審査に時間を掛けたにも関わらず、最終的に融資を受けられなければ、その間の時間が無駄になってしまうでしょう。
それに対して、ソーシャルレンディングは審査にかかる時間が短いです。
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ソーシャルレンディングは危ないと言われる理由
「ソーシャルレンディングは危ない」「ソーシャルレンディングはやばい」などの意見を耳にすると、不安を感じるでしょう。
確かにソーシャルレンディングには、投資家が注意すべきリスクも存在します。
ソーシャルレンディングは危ないと言われるおもな理由は、次の通りです。
- 元本保証がない
- 予想利回りを下回るリスクがある
- 途中解約できない
- 早期償還の可能性がある
- 歴史が浅く行政処分を受けた例がある
元本保証がない
ソーシャルレンディングでは、元本保証がありません。
つまり、投資家が貸した資金を100%回収できる保証、必ず儲かる保証はないということです。
投資先の企業が倒産するリスク、貸し倒れが発生するリスクも考えられます。

投資先の見極めが重要です。
予想利回りを下回るリスクがある
ソーシャルレンディングのサイトでは、ファンド(投資先)ごとに予想利回りが書かれています。
しかし、この利回りはあくまで「予想」です。
高い予想利回りが書かれていたとしても、その通りに運用できる保証はなく、もっと低い利回りになる可能性があります。
途中解約できない
さらにソーシャルレンディングでは、投資家が一度投資したら、途中解約ができません。
たとえば債券投資では、償還日が来る前に途中で売却ができます。
株や投資信託など、他の投資方法でも、基本的には好きなタイミングで自由に売買できることが多いです。
しかしソーシャルレンディングは途中でやめられないので、資金が長期拘束される、柔軟に利益確定や損切りができないといった点には注意が必要です。
早期償還の可能性がある
ソーシャルレンディングでは、予定されていた償還日が来る前に、企業側から早期償還がおこなわれる可能性があります。
早期償還がおこなわれると、満期が訪れる前に、期待していた利益を確保できないまま運用が終了するリスクがあります。
さらに、投資期間が終わった後に返済期間の延長を求められるリスクにも注意が必要です。
歴史が浅く行政処分を受けた例がある
日本のソーシャルレンディングは、まだ10年ほどしか歴史がありません。
最初にソーシャルレンディングを始めたのがmaneoで、2008年のことでした。
その後、次々とソーシャルレンディング企業が現れ、サービスとして整ってきたのは2014年くらいからです。
今までにソーシャルレンディングの仲介を行う一部の業者が、行政処分を受けた例もあります。
参照:金融庁『ソーシャルレンディングへの投資にあたってご注意ください』

関連記事:仮想通貨・ビットコインは今後どうなる?将来性はある?
ソーシャルレンディング案件の失敗しにくい選び方
このようにソーシャルレンディングは投資である以上、一定のリスクを伴います。
下記のポイントを押さえて、失敗しにくい案件を選びましょう。
- 利回りだけで選ばない
- ひとつの案件に集中投資しない
利回りだけで選ばない
ソーシャルレンディングで投資する案件を選ぶ際、まず利回りの高さに目が行きがちです。
しかし利回りは、高ければ高いほど良いというわけではありません。
利回りの高さだけではなく、会社の財務状況や将来性も確認して、総合的に判断しましょう。

ひとつの案件に集中投資しない
高利回りな案件に集中投資したくなるかもしれませんが、投資先は分散させたほうが賢明です。
たとえば50万円を投資してみようと考えているなら、ひとつの案件に50万円すべてをつぎ込むと、運用失敗した際のダメージが大きくなってしまいます。
Aの案件に10万円、Bの案件に10万円、株に15万円、投資信託に15万円…と投資先を分散させれば、Aの案件で損失が出ても他の投資先でカバーできる可能性があります。
関連記事:不動産投資の成功率は低い?難易度や成功する人の特徴を現実的な目線で解説
おすすめソーシャルレンディングサービスを比較
ソーシャルレンディングで投資を始めたい人は、まず利用するソーシャルレンディングサービス(サイト)を選びましょう。
しかし、過去に行政処分を受けたソーシャルレンディングサービスも存在します。
各社を比較して、信頼性や実績があるソーシャルレンディングサービスを選ぶようにしましょう。
累計ファンド数・累計応募金額を比較
規模の大きいソーシャルレンディングサービスがおすすめです。
今までに豊富な実績があり、掲載案件も多いサービスなら、安心して利用しやすく理想的な投資先も見つけやすいでしょう。
具体的には、累計ファンド数や累計応募金額の多いソーシャルレンディングサービスがおすすめです。
以下で、各ソーシャルレンディングサービスの公開済みファンド数や累計応募金額を比較しました。
※2023年時点の実績です。
サイト名 | 運営会社 | 累計ファンド数 | 累計応募金額 |
---|---|---|---|
クラウドバンク | 日本クラウド証券株式会社 | 5,330件 | 約2,175億円 |
Bankers | 株式会社バンカーズ | 154件 | 約198億円 |
オルタナバンク | SAMURAI証券株式会社 | 263件 | 約125億円 |
AGクラウドファンディング | AGクラウドファンディング株式会社 | 20件 | 約45億円 |
OwnersBook | ロードスターインベストメンツ株式会社 | 258件 | 約400億円 |
ファンド数や累計応募金額は、「クラウドバンク」の実績が目立ちます。
連記事:おすすめの投資相談窓口5選!信頼できる相談先の選び方【資産運用】
【まとめ】ソーシャルレンディングとは新しい投資の形
ソーシャルレンディングは新しい投資の形として注目されています。
各ファンドの提示している利回りが高く、手間もかかりません。
ただし一方で、貸し倒れや早期償還などのリスクもあるため、「ソーシャルレンディングは危ない」「やめとけ」などと言われてしまうこともあります。
必ずしもソーシャルレンディングはやめておくべき、とは言い切れませんが、いずれにせよ自身のリスク許容度の範囲内で投資することが重要です。
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