イギリス不動産投資の特徴と、メリット・デメリットについて解説します。
イギリスは人口が増加傾向で、不動産に関する法整備も進んでいる先進国です。
しかし注意しなければならない点もあるため、しっかり押さえておきましょう。
また、イギリス不動産投資ではどの程度の利回りが狙えるのか、どんな税金が発生するのかについてもご紹介。
「イギリス不動産投資でおすすめのエリアはロンドンって本当?」
「イギリス不動産を購入する手順は?」
といった気になるポイントも網羅しているので、ぜひ参考にしてください!
関連記事:海外不動産投資は儲かるって本当?人気の理由やリスク・デメリットを解説
イギリス不動産投資のメリット4選
イギリスで不動産投資のメリットは、次の通りです。
- イギリスの平均住宅価格は過去20年間で2倍に上昇
- 古い家ほど資産価値が上がる
- 外国人でも一戸建て投資ができる
- 公正・公平な不動産取引ができる
①イギリスの平均住宅価格は過去20年間で2倍に上昇
イギリスは過去数十年間にわたって、住宅価格が安定して上がり続けている国です。
イギリスの平均住宅価格を見てみると、過去20年間で2倍以上も上昇しています。
(参考:https://www.starts.co.jp/kaigai/docs/pdf/289.pdf)
住宅価格が上がっている要因は、おもに次の通りです。
- 人口が増加している
- 建築規制が厳しい
- 土地が不足している
- 政府が住宅購入を支援している
人口が増加している
日本は少子高齢化による人口減少が続いていますが、先進国ならどこでも人口が減っているわけではありません。
イギリスは、人口が増加し続けています。
なぜかというと、外国から移民を受け入れているためです。
イギリスのような先進国で働きたい・学びたいと考えている外国人は多く、労働者や留学生の流入によって、人口が増加しています。
イギリスの総人口は約6,700万人ですが、あと40年後には、およそ1,000万人近く増加すると予測されているほどです。
人口が増えるということは、不動産の需要が増加するということなので、これからも不動産価格の上昇に良い影響を与えるでしょう。
建築規制が厳しいため不動産需要に対して供給が少ない
イギリスの不動産価格が上がり続けているのは、需要と供給のバランスが釣り合っていないからでもあります。
イギリスは美しい景観を守るための建築規制が厳しい国です。
新しく家を建てたいと思っても、建設許可が下りにくいため、人口増加に対して不動産の供給が追いついていません。
ロンドンのような都市部では、特にその傾向が顕著です。
需要に対して供給が過剰であれば、当然不動産価格の相場も下がっていきますが、イギリスの場合は逆なので不動産価格の上昇につながっています。
土地が不足している
イギリスの首都ロンドンは、世界屈指の経済都市です。
しかし世界地図を広げれば分かるように、イギリスの国土は決して広くありません。
移民はどんどん流入してくるのに、土地が足りていないため、不動産価格は高騰しやすくなっています。
イギリス政府が積極的に住宅購入を支援している
イギリスの物件価格が上がっている理由は、政府が住宅購入支援に積極的だからでもあるといわれています。
たとえば住宅購入支援制度の例は、次の通りです。
- 国民向けの住宅ローン支援策「Help to Buy」
- 国民・外国人向け不動産投資奨励策「Buy to Let」
(参考:国土交通省)
イギリスには退職金制度がありません。
老後の住処に困らないよう各自で不動産を購入してほしい、年金代わりに家賃収入を得て安定した老後を送ってほしい、などの意図があると考えられます。
②古い家ほど資産価値が上がる
日本の一戸建ては大半が木造です。
しかしイギリスでは、石・レンガ・ブロック造の建物が主流となっています。
レンガやブロックで建てられた家は、築200年、300年という場合も珍しくありません。
しかもこういった古い家のほうが、歴史を感じられて良いとされており、むしろプレミアが付きます。
日本でも古民家を好む人は一定数いますが、築古木造物件はシロアリの被害を受けていたり、耐震性が低く安全上の問題を抱えていたりします。
そのような理由もあり、日本では新築信仰が根強いです。
いっぽうイギリスでは、日本のように住宅が古くなるに従って価格が下落するのではなく、むしろ時間が経過するほど不動産価格は高くなる可能性があります。
③外国人でも一戸建て投資ができる
世界には外国人が土地を購入できない国もあります。
たとえば東南アジアの不動産投資で、戸建てではなくコンドミニアムの運用がおこなわれているのは、外国人投資家が土地を買えないからです。
しかしイギリスには、このような制限がありません。
一戸建て・学生寮・ホテルなど、さまざまなタイプの不動産に投資できます。
④公正・公平な不動産取引ができる
イギリスでは、不動産関連の法整備が進んでいます。
そのため不動産取引でトラブルが起こりにくい国です。
不動産鑑定士や弁護士のサポートが受けられる
例えばイギリスでは、不動産を買うにあたって、不動産鑑定士に物件の状態確認を依頼できます。
鑑定の結果、物件に不具合が見つかった場合、売主に「修繕費を負担してほしい」と交渉することも可能です。
またイギリスでは、不動産を購入する際、弁護士に書類の内容等のチェックを依頼します。
このようにイギリス不動産投資では、欠陥がある物件を買わされたり、契約内容に落とし穴があって騙されてしまったりといったリスクが低いです。
\20年以上の実績!/
関連記事:アメリカ不動産投資の利回りの目安は?意外と儲からないって本当?
イギリス不動産投資のデメリット5選
このようにメリットが多いイギリスの不動産投資ですが、良い面ばかりではありません。
デメリットも把握して、本当にイギリスの不動産投資を始めるべきか検討しましょう。
- 利回りはそれほど高くない
- 不動産価格の上昇率はアメリカより低い
- 経済の先行きが不安
- 不動産購入時の手続きが大変
- 建築規制が厳しい
①利回りはそれほど高くない
イギリス不動産投資の利回りは、特別高いわけではありません。
エリアや物件にもよるので一概には言えませんが、おおよその目安は、表面利回り約5〜6%、実質利回り約4%ほどだといわれています。
必要経費や税金を差し引いた数値は「実質利回り」なので、表面利回りよりも実質利回りの確認が大切です。
とはいえ実質利回りには、明確な定義や基準が実のところありません。
物件購入時に想定の実質利回りを提示してくれた不動産会社が、必要経費を低く見積もっている・空室期間を充分に考慮していないといったケースもあります。
②不動産価格の上昇率はアメリカより低い
イギリスでは住宅価格が上がり続けているとご紹介してきました。
しかし先進国の海外不動産投資で人気が高いアメリカと比較すると、住宅価格の上昇率はゆるやかです。
「先進国で不動産投資をするなら、まず検討したい投資先はアメリカ」という意見もあります。
③経済の先行きが不安
新型コロナウイルスの影響によって、イギリスの経済成長は停滞気味です。
これは他のヨーロッパ諸国も同じですが、今後どれだけ経済指標が回復していくか不透明となっています。
またイギリスは、2021年1月1日にEUを離脱しました。
EU離脱と新型コロナウイルスの感染拡大時期が重なったため、EU離脱がイギリス経済にどのような悪影響を及ぼしたか判断しかねる状況ですが、先行きが不安視されています。
④不動産購入時の手続きが大変
イギリスは不動産取引の法整備が進んでいる一方で、不動産購入時の手続きが多く、少々面倒です。
物件の購入を申し込んでから、決済が完了するまでに、比較的時間がかかります。
3ヶ月程度は見積もっておきたいところです。
「円高のタイミングで買おうと思ったのに、手続きをしている間に為替相場の状況が変わってしまった」という事態に陥る可能性もあります。
ちなみにアメリカでは、不動産の購入申し込みから手続き完了まで1ヶ月半程度です。
⑤建築規制が厳しい
イギリスでは美しい街並みを守るための厳しい建築規制が設けられています。
下記のような工事をしようと思っても、「景観を乱すから」という理由で、許可をもらえないケースも。
- テレビのアンテナ取り付け
- エアコンの室外機の設置
- テラスの設置
- 店の看板掲示
特に「自由にDIYやリフォームをして貸し出したい」と思っている場合は、注意が必要です。
関連記事:海外不動産投資のやり方は?数万円から少額投資する初心者向けの始め方も解説
イギリス不動産投資の税金・費用
イギリス不動産投資では、次のような税金・費用が発生します。
利回りを計算する際は、これらの税金・費用が多めに発生すると仮定して、それでも黒字になりそうか確認しましょう。
不動産購入時の税金・費用
- 印紙税
- 登記費用
- 物件調査費(不動産鑑定士)
- 弁護士費
- 不動産会社の利用費
イギリス不動産では、売り手と買い手の弁護士を通じて契約がおこなわれます。
また、不動産鑑定士に物件調査を依頼する費用も考慮しなければなりません。
他にも費用が掛かる可能性があると覚えておきましょう。
不動産保有時の税金・費用
- インカムタックス(所得税)
- 建物管理費
- 修繕費
インカムタックスとは、インカムゲイン(家賃収入)に対してかかる税金、つまり所得税のことです。
日本と同じく、所得が多くなればなるほど、税率は上がります。
関連記事:低予算で少額不動産投資を始めるには?おすすめの方法5選とメリット・デメリット
イギリス不動産投資でおすすめのエリア
イギリスに限らず不動産投資では、入り口が重要です。
どのエリアにいくらで物件を買うか、焦らず慎重に検討しましょう。
イギリスは次の4カ国から成り立っています。
- イングランド
- ウェールズ
- スコットランド
- 北アイルランド
この中で人口増加が続いているのは、イングランドです。
つまりイギリス不動産投資をするなら、おすすめはイングランドであるといえます。
おすすめはイギリスの首都ロンドン
イングランドの首都はロンドンです。
ロンドンは1から6までのゾーンに分けられています。
ゾーン1はロンドンの中心街であり、非常に不動産価格が高いエリアです。
まずはゾーン1以外のエリア、たとえばゾーン2~3で不動産を取得するといいでしょう。
ロンドン郊外の不動産投資で貯めた資金をもとに、ゾーン1での不動産投資に挑戦することもできます。
バーミンガムやマンチェスターは不動産価格がおさえられている
ロンドンは不動産の価格相場がとても高いため、手が届かないと感じる方も多いでしょう。
イギリス第二の都市であるバーミンガムや、第三の都市であるマンチェスターは、ロンドンより不動産価格がおさえられています。
価格がネックだと感じた場合、バーミンガムやマンチェスターもあわせてチェックしてみてください。
関連記事:不動産投資は失敗率が高い?ありがちな失敗例と失敗しないためのポイント
イギリス不動産投資の始め方・購入の流れ
イギリス不動産投資の始め方を解説します。
物件探しから契約完了までの流れを見ていきましょう。
- 不動産会社を選ぶ
- 購入したい不動産を探す
- 購入の申し込み
- 弁護⼠と不動産鑑定⼠の⼿配
- ローンの申し込み
- 契約締結
- 決済と契約完了
Step1.不動産会社を選ぶ
イギリスにはRightmoveやZooplaといった不動産検索サイトがあります。
こういったサイトで気になる不動産を探し、現地の不動産会社から直接購入してもいいのですが、RightmoveやZooplaは英語サイトです。
英語を喋れない方や、英語はある程度できても不動産の専門用語に慣れていない方にとっては、難易度が高いですよね。
そこで日本語で対応してくれる不動産エージェントや、コンサルタントの利用がおすすめです。
イギリス現地に拠点・コネクションを持っている不動産会社や、イギリス現地の日本語対応してくれる不動産会社を選ぶといいでしょう。
Step2.購入したい不動産を探す
不動産会社に購入したい不動産の希望条件を伝えます。
- 予算
- エリア
- 間取り
- その他の希望条件
希望条件に合った不動産をリストアップしてくれるので、気になる不動産を見つけたら、内覧しましょう。
イギリスの現地に行くのが難しくても、ZoomやSkypeを使って内覧できる不動産会社も多いです。
動画を送ってもらえる場合もあります。
Step3.購入の申し込み
不動産購入の意志が固まったら、不動産会社を通じて申し込みます。
このとき希望売買価格や、ローンを利用するかどうか伝える必要があるので、前もって考えておきましょう。
またローンを組む場合、一般的には本審査の前に「仮審査」があります。
時間がかかることを踏まえて、ローン商品の選定等も同時に進めておきましょう。
Step4.弁護⼠と不動産鑑定⼠の⼿配
申し込みが受理されたら、不動産鑑定⼠(Surveyor)と弁護⼠(Solicitor)の⼿配をします。
不動産鑑定⼠とは、建物の状態や構造上の問題を調査・報告してくれる人物です。
調査してもらう範囲が広いと、価格が高くなるので、必要に応じて依頼内容を決めましょう。
弁護⼠は契約書の作成を担当します。
Step5.ローンの申し込み
ローンを組む場合は、日本の金融機関にローンの申し込みをします。
日本に住んでいると、イギリスの金融機関からは融資が受けられません。
そのため、基本的に日本の金融機関を利用することになります。
ただ国内での不動産投資と違って、フルローンでの購入は難しいです。
自己資金を多めに用意しなければなりません。
Step6.契約締結
弁護士が作成した契約書に署名します。
また、弁護士経由で手付金の⽀払いをしましょう。
手付金は不動産購入代金の10%程度です。
契約書に署名してから購入をやめようとすると、手付金を失うか、契約解除による損害を請求されるため、覚えておきましょう。
契約書に署名して手付金を支払うまでは、不動産を確保できません。
Step7.決済と契約完了
弁護士を通じて、残りの不動産購入代金を支払います。
最後に鍵の受け取りをしましょう。
これでイギリス不動産の購入手続きは完了です。
\20年以上の実績!/
関連記事:海外不動産投資で節税できない?税制改正による影響と対策を解説
イギリス不動産投資の注意点
イギリス不動産投資では、次のポイントに注意しましょう。
- 土地の所有者は国王のみ
- 契約締結しなかった場合も弁護士と不動産鑑定士の費用がかかる
土地の所有者は国王のみ
イングランドとウェールズの国土は、国王の所有物です。
個人は土地を売買できますが、厳密に言うと「土地を使える権利」を買っているにすぎません。
土地の使用権は、次の2種類があります。
- Freehold…土地の永久使用権を買う。
- Leasehold…Freeholdのオーナーから、一定期間の使用権を買う。999年まで設定できる。
Leaseholdでは、残りの使用可能期間が70年を切ると、金融機関によっては融資が受けられない場合もあります。
相場より安い値段で流通している不動産の中には、残りの使用可能期間が少ないというケースもあるため、要確認です。
なお厳密には国から土地を「借りているだけ」とはいえ、突然土地を没収されたり立ち退きを命じられたりする可能性はかなり低いため、それほど不安に思う必要はないでしょう。
契約締結しなかった場合も弁護士と不動産鑑定士の費用がかかる
不動産購入の申し込みをしてから、売り手や買い手の都合で、契約が取りやめになる場合もあります。
まだ契約書にサインしていなかったとしても、弁護士と不動産鑑定士の費用は発生するので、注意してください。
契約の取りやめが売り手側の都合だったとしても、弁護士と不動産鑑定士の費用は買い手側で支払わなくてはなりません。
関連記事:海外不動産投資のメリットは?デメリットや税金のルールとあわせて解説
イギリス不動産投資にチャレンジしよう
イギリスは不動産価格が上昇しやすい国です。
移民の流入や土地の不足といった構造的な要因が関係しているため、不動産価格の傾向は今後も簡単には変わらないと考えられます。
中長期にわたる海外不動産投資を考えている方におすすめの国です。
すでに海外不動産を持っている方は、下記のサイトから価格の査定ができます。
利回りが低い不動産の売却で得られたお金を、新たな不動産の購入費用に充てるのもひとつの方法です。
査定は無料なので、気軽に申し込んでくださいね。
\20年以上の実績!/
関連記事:税制改正後のアメリカ不動産投資で節税するには?改正前との違いをわかりやすく解説
コメント