業績が低迷している楽天グループ(4755)の株価は今後どうなるのか予想し、売りか買いか分析しました。
「楽天株はやばい」という意見もあれば、「今後必ず値上がりする!」という意見もあり、売るべきか買うべきか悩んでいる人も多いでしょう。
楽天の株価や業績が低迷している理由についても、株初心者でもわかりやすく解説しているので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね。
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楽天株の現状
楽天がどんな会社か、説明するまでもなくご存じの方も多いでしょう。
楽天市場、楽天トラベル、楽天カードなど、生活に関連する幅広いサービスを展開している大企業です。
最近ではモバイル事業に参入し、注目を集めています。
CMを目にすることも多いですよね。
いろいろな楽天サービスを利用すればするほど「楽天ポイント」がたまりやすくなり、ためたポイントは楽天サービスで1ポイント1円として使える…という、囲い込み戦略を取っています。
【株価低迷】2020年~2022年にかけて8四半期連続で赤字
残念なことに、楽天は2022年10月まで、8四半期連続営業赤字です。
四半期とは1年間のうちの4分の1のこと、つまり3ヶ月ごとなので、丸2年間も赤字が続いているということになります。
赤字になった金額は、累計で5,000億円です。
さらに抱えている負債は、約2兆5000億円。
とんでもない金額ですよね。
株価はというと、過去5年で44%も下がってしまいました。
2015年4月には2300円台まで上がった株価が、2022年には600円台に下落しています。
関連記事:AT&Tの株価は今後どうなる?株価急落や減配の理由
【なぜ?】楽天の業績悪化と株価低迷の理由
楽天の株価が低迷しているのは、やはり業績悪化によるところが大きいです。
では、なぜ楽天はここまで赤字続きになっているのでしょうか。
何があったのか、順を追って見ていきましょう。
赤字のおもな原因は楽天モバイル
まず第一に挙げられるのが、楽天モバイルの苦戦です。
楽天モバイルは、ソフトバンク、au、docomoといった大手キャリアよりも安い通信料金を売りにしてスタートしました。
- 1ヶ月に通信量が1G以下の場合、通信料金が一切かからない「0円プラン」
- 入会から1年間は通信料金が無料の「1年無料キャンペーン」
ユーザー数は増え続けていた
楽天モバイルのユーザー数は順調に増え続けていました。
しかしモバイル事業には、設備投資が必要です。
基地局を短期間で建設したり、自社の基地局が整備できていない地域ではKDDIの通信網を借りたりする費用がかさみ、結果的に赤字となっています。
0円プラン終了に伴う価値の喪失
どんどん赤字が積み重なっていった楽天モバイル。
最初は大盤振る舞いの格安料金でサービスを提供していましたが、ここまで赤字が積み重なってしまうと、会社にお金がなくなり、お金を貸してくれる業者もいなくなってしまいます。
そこでついに最近、楽天モバイルの画期的なサービスだった「0円プラン」が終了しました。
ユーザーにとっては魅力的だった0円プランですが、0円ということは楽天がユーザーのために投資をしても、利益を回収できません。
そんなこんなで終了した0円プランですが、0円プラン終了を発表した2022年5月から8月10日の決算までの間だけで、22万回線のユーザーが解約してしまいました。
しかし0円ユーザーが減ったことで、会社の負担も減ったと言えます。
楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は、「0円でずっと使われても困っちゃうというのがぶっちゃけた話」と発言しています。
とはいえ、「楽天モバイルを選ぶ理由は料金の安さ」というユーザーが多かったわけですから、楽天モバイルのお得度が下がった=楽天モバイルを利用し続ける理由がなくなりユーザー数が伸び悩むのではと懸念されています。
それに楽天モバイルは、大手キャリアより通信料金が安いとはいえ、ラインモやビーモバイルなどの格安プランと比較すると高いです。
また、通信の安定性は大手キャリアに劣るとのクチコミが散見されます。
通信の質や価格の面で、今後苦戦を強いられるかもしれません。
楽天モバイル以外の事業は好調
2年間ずっと大赤字の楽天ですが、実は楽天モバイル以外の事業は好調です。
2022年第2四半期の決算では、楽天モバイル以外の営業利益12.6%増と、業績が伸びています。
コンスタントに400億円から600億円の黒字を出しているのです。
特に好調なのが、楽天カード、楽天証券、楽天銀行といった金融関連サービス。
またコロナ禍でネットショッピングの需要が拡大し、楽天はその恩恵を受けたという背景もあります。
しかしその他の事業の黒字でカバーできないほど、楽天モバイルの赤字問題は深刻です。
関連記事:割安成長株は投資のいいとこ取り?見つけ方の解説&おすすめ銘柄5選を紹介
楽天株価がどうなるか予想!期待要素と不安要素
楽天の株価が低迷しているおもな原因は、2年間赤字続きだからです。
そして赤字が続いているのは、モバイル事業が他の事業の黒字では相殺できないほど赤字になっているからだとお分かりいただけたでしょう。
今後楽天の業績が回復し、株価も上昇する見込みは、どのくらいあるのでしょうか。
楽天の株価が上がる期待要素
楽天ユーザー数は増えている
楽天グループの国内平均月間アクティブユーザー数は、2022年第2四半期決算で、3,700万を突破したと発表されました。
グループ全体の足を引っ張っていると言われている楽天モバイルですが、楽天モバイルに加入したことをきっかけに、楽天市場や楽天カードといった他の楽天サービスを使い始める人が増えているのです。
「モバイル事業さえなければ黒字なのだから、モバイル事業から早く撤退してほしい」と嘆いている楽天の株主は少なくないですが、モバイル事業は楽天ユーザーの獲得に一役買っているので、難しいところです。
売上は右肩上がり
楽天グループ全体の売上は、順調に伸びています。
赤字が黒字を上回ってしまっている、というだけなのです。
コロナ禍でネットショッピングの需要が高まっているため、今後も楽天市場は順調に伸びていくでしょう。
またGoToキャンペーンの影響で、楽天トラベルが伸びていくことも期待できます。
さらに楽天カード、楽天証券などの金融分野も好調です。
楽天モバイル次第で株価が上がる
多くの投資家が心配しているのは、楽天モバイルによる赤字がどこまで続くのかということです。
逆に言えば、楽天モバイルによる赤字さえ改善されれば、株価は高確率で上がります。
もしくは今後、現状を打破するような魅力的なプランが発表された場合、そのタイミングで株価が上がるかもしれません。
モバイル事業は契約しているユーザーから継続的に通信料金を回収できるので、安定性が高く、成功さえすれば旨味が大きいです。
また、もし今後モバイル事業から撤退する…なんてことになったら、「買い」の判断をする投資家が増え、株価が自然と上がっていくということもありえます。
楽天の株価が下がる不安要素
楽天モバイルの今後がどうなるか不明
やはり最大の懸念点は、楽天モバイルが今後どうなっていくか分からないことでしょう。
楽天は「今後も楽天モバイルのユーザー数は伸びていく見込み」と説明しています。
しかし0円プランや1年無料キャンペーンが終了した今、楽天モバイルの最大の武器だった料金のお得さは、あまり感じられなくなってしまいました。
回線の安定性では大手キャリアに、通信料金の安さでは格安SIMを提供しているサービスに負けているのが現状です。
楽天全体の命運を握る楽天モバイルの今後は、あえて楽天モバイルを利用したくなる価値をユーザーに提示できるかどうかに懸かっているのではないでしょうか。
業績回復の兆しがない
今のところ楽天の業績が回復する兆しはまだなく、次の決算でも赤字になる可能性は大いにあります。
また今のところ、赤字の原因であるモバイル事業から撤退を検討しているような姿勢は見られません。
いまモバイル事業から撤退してしまったら、投入した資金を回収できずに終わってしまうため、あと1~2年で撤退するとは考えにくいです。
しかし楽天株を保有している人からすると、出口の見えない暗いトンネルを走っているような気分でしょう。
楽天の株価は今後必ず値上がりするって本当?
「今の楽天はモバイル事業に先行投資しているから赤字なのであって、売上は伸びている」
「楽天市場も金融関連サービスも好調だから、未来は明るい」
「だから、今買っておけば必ず値上がりする」
という意見もあります。
確かに楽天グループが提供しているサービスの価値や幅は、衰えるどころか増しており、赤字経営とはいえ今後値上がりする可能性は高いです。
しかし常にリスクを意識するのが大切な投資において、希望的観測は危険。
その「今後」が何年先になるか分からない状態です。
さらにモバイル事業の苦戦が続いた場合、今より株価は下がっていくと考えられます。
関連記事:初心者必見!バリュー株(割安株)のおすすめ銘柄6選を紹介
楽天の株主優待や配当利回りは△
株主優待や配当金目当てで楽天株を買うのはアリかナシか、見ていきましょう。
結論から言うと、株主優待目当ての保有はどちらかというとアリですが、配当金目当ての保有はおすすめできません。
楽天の株主優待は実用的だが…
楽天グループのおもな株主優待は、電子マネーの「楽天キャッシュ」と、「楽天トラベル」の国内宿泊で使える割引クーポンです。
株数 | もらえる電子マネー |
---|---|
100株 | 500円相当 |
1,000株 | 1,000円相当 |
5,000株 | 1,500円相当 |
10,000株 | 2,000円相当 |
さらに連続で5年以上楽天株を持ち続けると、もらえる楽天キャッシュの金額が次のようにアップします。
株数 | もらえる電子マネー |
---|---|
100株 | 1,000円相当 |
1,000株 | 1,500円相当 |
5,000株 | 2,000円相当 |
10,000株 | 2,500円相当 |
たくさん楽天株を保有した場合の金額は渋いですが、楽天市場や楽天ペイアプリ加盟店で好きな買い物に使えるので、腐らせることがなく実用的でしょう。
楽天トラベルのクーポンは、保有している株数※に関係なく、一律1,500円相当です。
以前は2,000円分だったのですが、最近減ってしまいました。
また楽天イーグルスの限定グッズが当たったり、観戦チケットが当たったりする株主優待もあります。
ときどき株主優待のラインナップは変わるので、株主優待を重視する人は確認しておきましょう。
※ただし100株に満たない場合はもらえません。
関連記事:1株からでも株主優待が受けられるオススメ銘柄15選を紹介
楽天株の配当利回りは低い
楽天株の配当利回りは、ここ数年0.3~0.4%程度と、低いです。
ちなみに、日本株の平均的な配当利回りは約2%となっています。
今後も増配は期待できず、配当利回りを重視する人には不向きな銘柄です。
楽天株を保有するなら、やはり株価上昇を狙うべきと言えます。
関連記事:高配当株で配当金生活も夢じゃない!高配当株の選び方&儲けワザ
【結論】楽天株は売りか買いか
楽天グループの株は売りでも買いでもなく、中立という判断が一番妥当です。
楽天株はいま損切りすべきか?
今後が心配な楽天ですが、かなり値下がりしている今、損切りするよりは保有がいいと思われます。
楽天モバイルの赤字が負担となっているものの、楽天グループ全体の業績は順調に伸びており、会社が提供しているさまざまなサービス自体は高い価値があるものです。
「もう楽天はダメだ」と見切りをつけるのは、時期尚早でしょう。
今より値上がりする可能性は充分にあるため、いずれ損切りするとしても、そのタイミングを根気よく待つのがおすすめです。
まだ楽天モバイルが成功する兆しは見えず、いつまで待てばいいのかと不安に思われるかもしれませんが、いまは我慢の時だと考えたほうがよさそうです。
楽天株は「買い」か?
大手有名企業にも関わらず600円台まで値下がりしている今、すぐにでも楽天株を買うかどうか、迷っている方もいるでしょう。
しかし前述した通り、まだ楽天モバイルが活路を見出し、グループ全体が黒字になるような兆しは見えません。
現段階で楽天株を買うのは待ったほうがよいと言えます。
しかし長期投資を考えていて、ある程度のリスクを負ってもよいという人は、今「買い」もありです。
ただし保有株数に伴ってリスクも大きくなるので、業績が今後どうなるのか不安な現段階で買いすぎないようにしてください。
業績回復を待って「買い」がおすすめ
一番おすすめなのは、これから楽天が黒字回復しそうなタイミングを逃さずに買うことです。
しかし2022年8月の決算時点で、莫大な2兆5000億円の借金があるため、すぐには黒字回復しないと思われます。
今は楽天モバイルに関するこれという突破口が見えないので、安易に手を付けないほうがいいでしょう。
楽天株を狙っている人は、今後も根気よく、日頃から情報収集を心がけてください。
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楽天の動向をチェックし株価がどうなるか見極めよう
楽天グループが持つ力は大きく、株価が上がっていく見込みは充分あります。
しかしだからといって、チャンスとばかりに買い込むのはリスキーです。
今後楽天グループの資金繰りがどうなるか、楽天モバイルはどうやって現状を突破するつもりなのか、動向をしっかりチェックすることが大切です。
そうすれば細かな値動きに惑わされることなく、楽天の株価がどうなるか冷静に見極められるでしょう。
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