株の権利落ち日とは何か、配当金や株主優待を確実に得るためにはどうすればいいのか、解説します。
「権利落ち日」「権利確定日」「権利付き最終売買日」の違いをしっかり理解しておかないと、配当金や株主優待をもらい損ねてしまうかもしれません。
また権利落ち日には株価が変化しやすく、それを利用して儲けることができるのかどうかについてもご紹介。
株初心者でもわかりやすく解説しているので、ぜひ最後まで目を通してくださいね。
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株の権利落ち日とは
権利落ち日とは、配当金や株主優待をもらう権利が得られる最終日の「翌日」のことです。
(権利落ち日は、「配当権利落ち日」を簡単にした言い方です)
権利落ち日に株を買っても、配当金や株主優待をもらう権利は得られません。
配当金や株主優待を逃さずもらいたいなら、権利落ち日の前日である、「権利付き最終売買日」までに株を買っておく必要があります。
権利落ち日は、あくまで受け取り権利が得られる締め切り日の「翌日」である点に注意が必要です。
関連記事:株主優待って楽しい?メリットや注意点を分かりやすく解説
権利落ち日と「権利付き最終売買日」「権利確定日」の違い
「配当権利落ち日」と「配当権利付き最終売買日」のほかにも、「配当権利確定日」というものがあります。
損をしないために、まずはこの3つの違いを理解しておきましょう。
株を買うタイミング次第で、配当金や株主優待を受け取る権利がなくなってしまうので、注意が必要です。
「配当権利落ち日」「配当権利付き最終売買日」「配当権利確定日」は、次のようなスケジュールとなっています。
配当権利付き最終売買日の翌日が配当権利落ち日、さらに次の日が配当権利確定日です。
- 10/29…権利付き最終売買日
- 10/30…権利落ち日
- 10/31…権利確定日(多くの場合、決算日)
権利付き最終売買日とは
権利付き最終売買日とは、「この日までに株を保有すると、その企業の株主権利(=配当金・株主優待の受け取り権利)がもらえる」という日です。
権利付き最終売買日までに株を保有できなければ、株主として株主名簿に掲載されません。
さらに具体的には、権利付最終売買日の大引けまでにその銘柄を買い付けることが、株主権利を得る条件です。
※PTS取引の場合、デイタイム・セッション取引時間終了までとなります。
権利付き最終売買日の翌日が「権利落ち日」
権利付き最終売買日の翌日が「権利落ち日」です。
最初にご説明した通り、権利落ち日以降に株を買っても、株主権利は得られません。
しかし次回の権利確定日までその株を保有していれば、そのときに配当金や株主優待を受け取れます。
権利付き最終売買日の翌々日が「権利確定日」
権利確定日とは、株主権利(=配当金や株主優待の取得権利)が確定する日です。
前々日の権利付き最終売買までに株を保有できなければ、権利確定日に株主として株主名簿に掲載されていない状態となります。
その場合、株主としての権利がない=配当金や株主優待はもらえない、ということです。
権利確定日や権利落ち日に買付の約定をしても遅く、あくまで買付約定の締め切り日は権利付き最終売買なので、この点に注意しましょう。
権利確定日は、会社の決算日と同じ日に設定されていることが多いです。
- 権利付き最終日…株主権利が得られる買付約定の締め切り日
- 権利落ち日…株を買っても株主権利が得られない日(株を保有し続ければ、次回以降は株主権利が得られる)
- 権利確定日…株主権利が確定する日
関連記事:株を買うタイミングはいつ?初心者が知っておきたい株の買い方・売り方
権利落ち日の知っておきたいポイント
権利落ち日を利用して利益を出す方法や、損をしないために知っておきたいポイントについて解説します。
権利落ち日は株価が下がりやすい
権利落ち日は株価が下がりやすいです。
この傾向をうまく利用して売り買いすれば、利益になるかもしれません。
特に配当利回りが高い株や、株主優待が魅力的な株ほど、権利落ち日に株価が下がりやすいです。
権利付き最終日が近づくにつれ、配当金や株主優待目当ての買い注文が増えていき、株価も値上がりします。
配当金や株主優待をもらうには、権利付き最終日に株を保有していれさえすればいいので、翌日の権利落ち日になると売り注文が増加し株価も下がるというわけです。
配当金や株主優待を重視しない投資スタイルの人は、株価が高めになっている可能性が高い権利付き最終日直前に株を買うのは避けたほうがいいでしょう。
権利落ち日を利用して空売りするとき儲かる?注意点も
ある程度株に詳しい方は、「権利付き最終日の直前は株価が高くて、翌日の権利落ち日に株価が下がるなら、空売りすれば儲かるのでは?」とお思いになったでしょう。
株の空売りとは
空売りとは、証券会社から持っていない株を借りて売ることです。
株価が高く、近いうちに下落すると予想されるタイミングで株を借りて売り、その後株価が下がったところで買い戻して、差額から利益を狙います。
たとえば、株価が1,000円のときに1,000株を空売りして、700円に値下がりしたときにすべて買い戻すと、空売りしたときの利益100万円-買ったときの代金700万円=差額30万円が利益として手元に残ります。
空売りするときの注意点
確かに権利付き最終日から権利落ち日にかけて株価が値上がり・値下がりする性質を利用すれば、空売りで利益を出せる可能性は高いです。
しかし空売りしている場合、空売りしている分の配当金を支払わなければなりません。
つまり、売却益より支払う配当金が高額になってしまうと損失が出る、ということです。
売却益より支払う配当金が少なければ、利益になります。
権利落ち日に株を売ったら配当金はもらえない?
権利落ち日に株を売っても、配当金や株主優待は受け取れます。
配当金や株主優待がもらえるのは、権利付最終日の大引け時点でその銘柄を保有していた人です。
権利付き最終日や権利確定日に株を売ってしまっても、配当金や株主優待は問題なく受け取れます。
参考記事:【2022版】1株からでも株主優待が受けられるオススメ銘柄15選を紹介
配当金や株主優待の受け取り方法は?
配当金や株主優待の受け取り方法を確認しておきましょう。
ただし、配当金は支払われないこともあります。
株主優待がない企業もあるので、事前に確認が必要です。
配当金の受け取り方|いつもらえる?
配当金とは、企業が得た利益を株主に配分するものです。
配当金はいつもらえる?
配当金は権利確定日にすぐにもらえるわけではなく、3~4ヶ月かかることが多いです。
たとえば3月31日が権利確定日の場合、おおよそ次のようなスケジュールとなります。
- 3月31日…決算(権利確定日)
- 6月下旬…株主総会
- 6月下旬~7月上旬…支払い
配当金はいくらもらえる?
企業によって配当金は異なり、時によって変動します。
もらえる配当金を知りたいとき参考になるのが、銘柄ごとの「配当利回り」です。
配当利回り(%)は、1株当たりの年間配当金÷現在の株価×100で計算します。
配当利回りが高いということは、投資した金額に対して多くの配当金をもらえるということなので、お得です。
たとえば配当利回りが3.0%の銘柄だとすると、下記の配当金が受け取れます。
たとえば配当利回りが3.0%の銘柄を10万円分保有した場合、もらえる配当金は3,000円です。
※ただし、ここから税金が引かれます。
株価の変動が多い銘柄は、配当利回りも変動しやすいです。
配当利回り目当てで投資するなら、配当利回りが長期間安定している銘柄や、株価の変動が少ない大型株を狙うとよいでしょう。
また、大企業だからといって必ずしも配当金が高いわけではありません。
配当金のもらい方
配当金の受け取り方は、以下の4種類です。
- 証券口座に直接入金される「株式数比例配分方式」
- 配当金を振り込んでもらう口座を、銘柄ごとに指定する「個別銘柄指定方式」
- 自宅に送られてきた配当金領収証を、郵便局や銀行で現金に引き換える「配当金領収証方式」
- 保管振替機構(ほふり)の残高に応じた配当金が、金融機関の口座に入金される「登録配当金受領口座方式」
どの方式で配合金を受け取るのかは、自分で選択できます。
受け取り方法の変更には時間がかかることもあるので、あらかじめ切り替えておきましょう。
株主優待の受け取り方|いつもらえる?
株主優待とは、株主に対して企業が配布する、プレゼントのようなもの。
自社サービスの割引クーポンや、自社の商品であることが多いです。
配当金と違って税金が引かれないことや、株価が変動しても一喜一憂せず、毎年の株主優待をもらいながら楽しく投資できるのがメリット。
いつもお気に入りの飲食店やホテルを利用している人は、その企業が株主優待として割引券を提供していないか、調べてみるといいでしょう。
調味料や洗剤など、生活必需品がもらえる株主優待も人気があります。
株主優待はいつもらえる?
株主優待は配当金と同じく、権利確定日にすぐ送られてくるわけではありません。
権利確定日から3ヶ月くらいかかることが多いので、気長に待ちましょう。
企業のホームページに、いつ発送されるのか書かれている場合もあります。
待ちきれない人はチェックしてみてください。
株主優待のもらい方
株主優待は、企業から自宅に送られてきます。
カタログギフトのような、自分で受け取る商品を選べる株主優待もあり、その場合は企業から送られてきた書類を返送する必要があります。
返信期日を過ぎると株主優待をもらい損ねてしまうので、うっかり忘れないようにしましょう。
参考記事:株主優待おすすめ10選!投資初心者がお得な優待生活を楽しむ方法
権利落ち日の前に株を買うべき?
権利落ち日は株価が下がりやすいものの、株価が高くなりがちな権利付き最終売買日までに株を買わないと、配当金や株主優待はもらえません。
「株は権利落ち日が来る前に買っておいたほうがいい?」と悩んでしまう方も多いでしょう。
配当金や株主優待目当てで投資をするなら、権利付き最終売買日までに株を買っておき、1回でも受け取り回数を増やすのはアリです。
しかし株価が安くなった権利落ち日以降に株を買っても、次回の権利付き最終売買日まで保有していれば、配当金や株主優待はそのときに受け取れます。
そのため数年間長期保有するつもりなら、株価が安くなった権利落ち日以降に買ってもいいでしょう。
権利落ち日は要確認!配当金や株主優待をもらってお得に運用
権利落ち日とは何か、権利確定日・権利付き最終売買日との違いは何か、ご理解いただけたでしょうか。
権利落ち日に株を買っても、配当金や株主優待を受け取れるのは次回以降になってしまいます。
権利確定日に株を買った場合も同様です。
配当金や株主優待目当てで投資をするなら、権利付き最終売買日までに株を買うようにしてください。
ただし配当金や株主優待でいい思いをしすぎると、その企業の業績が悪化しても、「思い入れがあるためなかなか手放せない」ということになりかねません。
楽しみながら長期投資したいなら、配当金や株主優待目当てで銘柄を選ぶのもありですが、利益だけを追求する投資スタイルとの相性は良くないと覚えておきましょう。
また、権利落ち日に株価が下がる傾向を利用して、空売りで稼ぐことも可能です。
株取引にある程度慣れてきたら、挑戦してみてもいいでしょう。
参考記事:高配当株で配当金生活も夢じゃない!高配当株の選び方&儲けワザ