専業トレーダーとは、FXや株の取引で得た利益だけで生活している人たちのことです。
中には総資産額が数億円と言われている専業トレーダーもいます。
FXをやっている方や、これからFXを始めてみようと思っている方は、「FXの専業トレーダーとして生活したい!」と憧れたことがあるのではないでしょうか。
しかし専業トレーダーになるには、一定以上の年収が必要であり、また向き不向きもあります。
誰でもFX専業トレーダーになれる可能性はありますが、簡単な道のりではありません。
今回は、FXの専業トレーダーに必要な年収や、専業トレーダーの1日の生活スケジュールをご紹介します。
FX専業トレーダーの厳しさや「やめとけ」と言われてしまう理由も解説するので、参考にしてください。
関連記事:世界と日本の有名個人投資家13選!成功者から学ぶ投資テクニック
FX専業トレーダーに必要な年収と資金
FX専業トレーダーになるために必要な年収と資金の目安は、次の通りです。
- 年収:1,000万円程度
- 資金:多ければ多いほどいい
- 余剰資金:生活費1~2年分
年収1,000万円程度が目安
FX専業トレーダーになるために必要な年収は、ネットの口コミを見てみると、1,000万円程度との意見が多いです。
また、最低でも現在の給料の2倍は稼げていることを目安にする必要がある、とも言われています。
「現在の生活費をFXで賄えれば、専業トレーダーになれるのでは?」「月に20万円程度稼げれば、充分に生活していけるのでは?」とお思いになるかもしれません。
しかし、それは楽観的な考えである可能性があります。
資金は多ければ多いほど有利
FXでは、資金が多ければ多いほど有利です。
多くの資金があると、リターンが低くても利益を得やすく、かつリスクの低い取引ができます。
たとえば100万円を110万円に増やすのと、1,000万円を1,010万円に増やすのとでは、後者の方が簡単です。
仮に100万円の資金で月に5%の利益を得た場合、月収は5万円となります。
年収で計算すると60万円です。
これでは専業トレーダーとして生活するのは難しいですよね。
しかし500万円の資金があれば、どうでしょうか。
利率5%で月25万円、利率10%で月50万円の利益が期待できます。
これなら年収は300万~600万円であり、十分に生活していけそうです。
しかし月によっては利率が2%に下がってしまったり、マイナスになってしまったりということも考えられます。
安定した生活を確保するためには、少々心許ないです。
さらに1,000万円の資金があれば、利率5%で50万円、10%で100万円の利益が見込めます。
これを1年間繰り返せば、年収600万~1,200万円です。
このレベルになると、安定した生活を期待しやすくなります。
1年~2年は生活できる余剰資金が必要
FX専業トレーダーになる場合、1年~2年は生活できる余剰資金を、投資する資金とは分けて取っておく必要があります。
すべてのお金を投資に使ってしまうと、トレードで大きく損をしたとき、生活に困ってしまいます。
また、トレードに対するストレスも大きくなってしまうでしょう。
たとえば月に25万円で生活している人は、300万円から600万円程度の貯蓄を、FXの資金とは別に用意しておきましょう。
FX専業トレーダーになるには多くの年収と資金がないと厳しい理由
FX専業トレーダーには、高い年収・たくさんの資金が求められるとご説明してきました。
では、なぜ多くの年収と資金がなければFX専業トレーダーになることは厳しいと言われているのか、理由を見ていきましょう。
- 資金が少ないと稼ぎにくいから
- 早期退場に追い込まれる可能性があるから
- 税金や保険料の支払いも必要だから
- 実力不足の可能性があるから
資金が少ないと稼ぎにくいから
最初にもご説明した通り、FXでは利率が同じでも、資金が多ければたくさんのお金を稼げます。
資金力がないと稼ぎにくいため、FX専業トレーダーになるなら、充分な資金が必要です。
早期退場に追い込まれる可能性があるから
FX取引は投資である以上、リスクがつきものです。
どんなに実力のあるトレーダーでも、時には大きな損失を出すことがあります。
数百万円、数千万円という大きな損失を出してしまったときに耐えられるかどうかは、本人の資金力によります。
専業トレーダーたちが大損をしても耐えられるのは、資金力があるからです。
少額の資金で専業トレーダーになると、早期に資金が不足し、退場せざるをえない状況に追い込まれる可能性があります。
税金や保険料の支払いも必要だから
FX専業トレーダーは、各種税金・保険料・年金なども、FXの利益から自分で支払わなくてはなりません。
サラリーマンの場合は、これらの支払いを会社側が一部負担してくれているのですが、FX専業トレーダーは全額自己負担です。
さらに忘れてはならないのが、FXをはじめとした投資で得た利益には、約20%の税金がかかるということ。
これは所得税や住民税とは別に支払わなくてはならない、投資家だけが負担する税金です。
「月に20~30万円程度稼げれば充分」と思って専業トレーダーになると、想像以上にこれらの支払いが大変で、手元に残るお金の少なさに悩まされる可能性があります。
実力不足の可能性があるから
「まだ年収が1,000万円に満たない人は、実力不足の可能性があるため、専業トレーダーになってしまうと危険」との意見も見られます。
FX専業トレーダーは、一時期だけFXで稼げれば成立する職業ではありません。
コンスタントに取引で稼ぎ続けることが求められます。
関連記事:DMM FXのポイントランク制度を完全解説!ポイントの使い道や確認方法は?
FX専業トレーダーは1日をどんな風に過ごしている?
ここでは、FX専業トレーダーの1日の過ごし方をご紹介します。
9時から本格的に動き出す東京時間にあわせて起床
FXでは、相場が活発に動く時間帯を「東京時間」「ロンドン時間」などと呼び分けています。
東京時間は9時ごろからなので、それに間に合うように起床しているFX専業トレーダーも多いです。
起きたら相場が動き出すまでの時間に、取引の準備をします。
- 寝ている間の為替相場の動きやニュースのチェック
- その日のトレード戦略を考える
東京時間が過ぎると、午後から15時頃までは、比較的ゆっくりと過ごせる時間帯です。
この時間を、趣味や情報収集の時間に充てる専業トレーダーもいますが、あくまで「チャートを見ながら」としている方も多いようです。
17時頃から活発になるロンドン時間の値動きが落ち着いたら夕食
17時前後からはロンドンのトレーダーが本格的に参戦してくるので、忙しくなります。
19時過ぎからは値動きが落ち着いてくるので、この時間帯で晩ご飯を食べる専業トレーダーも多いです。
とはいえ、夜の時間帯は突然ボラが出ることも珍しくありません。
無理をしない程度に、できるだけチャートを見るようにしているとの声が上がっています。
ニューヨーク時間はもっとも忙しい
夜のニューヨーク時間は、FX専業トレーダーのゴールデンタイムとなります。
中には明け方までトレードを続ける専業トレーダーもいますが、「○時まで」と区切りをつけて切り上げている専業トレーダーもおり、人それぞれです。
その日のトレードが終わったら、1日の振り返りをして、シャワーを浴びて就寝します。
また、土日にまとめて一週間の振り返りをしている専業トレーダーもいます。
FX専業トレーダーのメリット
FX専業トレーダーになると、どんなメリットがあるのか解説します。
- 自宅で好きな時間に仕事ができる
- 仕事の人間関係やノルマから解放される
- 稼げる仕事である
自宅で好きな時間に仕事ができる
専業トレーダーは自宅でできる仕事です。
毎日満員電車に乗る必要がなく、通勤に使っていた時間を有効活用できます。
またFXは土日を除いて、ほぼ24時間リアルタイムで取引が可能です。
レートが活発に動く時間帯を狙う必要はありますが、基本的に働く時間も自由だというメリットがあります。
仕事の人間関係やノルマから解放される
専業トレーダーは1人でできる仕事です。
上司や同僚がいないので、煩わしい職場の人間関係に悩まされることはありません。
また、生活していけるだけの利益を出す必要はありますが、厳しいノルマを課されることがないのもメリットです。
稼げる仕事である
専業トレーダーは稼げる仕事です。
そもそも稼げないトレーダーは専業トレーダーになれませんが、誰でも個人で年収1,000万円以上を稼げるかもしれないという点は、夢があります。
また、利益を出したら出した分だけ、税金や保険料などを除いて、すべて自分の収入になります。
頑張った分がきちんと収入に反映されるため、モチベーションに繋がりやすいです。
関連記事:DMMFXでセルフバックするやり方をわかりやすく解説!1回最低何円から取引できる?
FX専業トレーダーのデメリット
良いことばかりのように思えるFX専業トレーダーですが、デメリットもあります。
以下の理由から、「FX専業トレーダーになるのはやめとけ」「FX専業トレーダーはつらい」と言われることも少なくありません。
- 収入が不安定
- 確定申告が必要
- 無職とみなされ社会的信用が下がる
- 孤独に戦い続ける必要がある
専業トレーダーというと、職場のストレスがなく、自由に生きているようなイメージを抱くかもしれません。しかし実際は、ストレスを感じやすい側面もあります。
収入が不安定
会社に勤めていれば、毎月一定の給料がもらえます。
しかしFX専業トレーダーの場合、収入は不安定です。
毎月の収入にばらつきが出るだけではなく、時には損失で終わってしまう月もあります。
また、将来の稼ぎの予測をすることも難しく、不安を感じやすいです。
確定申告が必要
専業トレーダーは毎年自分で確定申告をしなければなりません。
また毎月の収入・支出の管理や、経費の計算もする必要があります。
会社員であれば経理の人に任せられる事務的な手続きを、すべて自分でおこなうことになるため、大変です。
無職とみなされ社会的信用が下がる
FXの専業トレーダーは、社会的には無職とみなされがちです。
「FXだけで生活しているなんて胡散臭い」という偏見に悩まされることがあります。
またマンションの入居審査や、ローンの審査などに通りにくくなる点もデメリットです。
専業トレーダーになる前にローンを組んだり、新しい住居を確保したりすると良いでしょう。
孤独に戦い続ける必要がある
FX専業トレーダーは、孤独を感じることも少なくありません。
会社員はチームでひとつの目標に向かって仕事をしますが、FX専業トレーダーは一人です。
人間関係によるストレスが少ない一方で、成功や失敗などの感情を誰かと分かち合えない、孤独な戦いがつらいと感じることもあります。
他のFX専業トレーダーとインターネットを通じて仲良くなり、コミュニティを築くこともできますが、基本的には利益も損失も自分だけのものです。
モチベーションを保てない、生活が不規則になってつらい、などのストレスを伴います。
関連記事:GMOクリック証券のデモトレードのやり方は?デモ口座開設から取引完了まで丁寧に解説
FX専業トレーダーを目指しても失敗する人の特徴
次の条件に当てはまる人は、FX専業トレーダーを目指しても、失敗する可能性が高いでしょう。
- 資金が不足している人
- 経験が不足している人
- 感情の起伏が激しい人
資金が不足している人
専業トレーダーになるには、充分な余剰資金がなければなりません。
大きな損失を出したときに、すぐにトレードを止めなければならない状況に陥るのを避けるためです。
たとえばあなたが300万円の元手で専業トレーダーになったとして、もし280万円の損失を出したら、残りの20万円で生活費を稼ぐのは難しいでしょう。
経験が不足している人
FXでよくある失敗例として、「ビギナーズラックで成功した初心者が、自分にはFXの才能があると思い込み、充分な経験がないまま勢いで会社を辞めてしまう」というものがあります。
専業トレーダーとして生活していくためには、継続して安定的に利益を出せる、経験と実力が必要です。
資金を用意していたとしても、取引で繰り返し失敗すれば、すぐに廃業しなければならない状況に追い込まれるでしょう。
もちろん、専業トレーダーになってからFXについて学び始めるのは、以ての外です。
感情の起伏が激しい人
専業トレーダーとして成功するためには、冷静な判断をおこない、感情の波をうまくコントロールしなければなりません。
損失に直面したときの精神的なダメージを乗り越えるのが苦手な人や、感情の起伏が激しい人は、専業トレーダーに向いていないでしょう。
取引に感情を介入させて適切な売買のタイミングを見失ったり、失敗のストレスで鬱状態に陥ったりする可能性が高まります。
FX専業トレーダーに関するよくある質問
FX専業トレーダーに関するよくある質問に回答します。
- FX専業トレーダーに向いているのはどんな人?
- 有名なFX専業トレーダーは?
- 誰でもFXの専業トレーダーになれる?
- 初心者がFX専業トレーダーになるまでの年数は?
Q.FX専業トレーダーに向いているのはどんな人?
FX専業トレーダーに向いているのは、慎重に物事を見極めつつ、大胆に行動できる人です。
加えて、為替相場は刻一刻と変化しているので、素早く判断できる力が必要となります。
さらに、プレッシャーに耐えるメンタルの強さも必要です。
初心者は少額からFXを始めることが一般的ですが、FX専業トレーダーになると一度に動かす金額が大きくなり、精神的な強さが問われます。
関連記事:【ブログで比較検証】FX自動売買は稼げる?稼げない?初心者はループイフダンでOK!
Q.有名なFX専業トレーダーは?
FXでは、次のようなトレーダーが有名です。
- 75億円を稼いだ「与沢翼」氏
- 失敗から成功を掴んだ「Aki」氏
与沢翼氏は「秒速で1億円稼ぐ男」「ネオヒルズ族」なとの異名で知られています。
彼のトレードスタイルはスキャルピングです。
Aki氏は大学を卒業した後、アルバイトで稼いだお金を元手にFXをスタートしました。
驚くべきことに、2018年に5億円を稼ぐという実績を残しています。
他にもYouTubeやブログをやっている有名なFX専業トレーダーはたくさんいるので、彼らの考え方や手法を参考にしてみてください。
関連記事:「投資の神」BNFさんの現在は?総資産〇億?伝説と歩みをたどる
Q.誰でもFXの専業トレーダーになれる?
FXの専業トレーダーになるのは、簡単ではありません。
そもそもFXで大きな利益を上げるのは難しいです。
金融先物取引業協会が発表したデータを見てみると、2017年の取引で1年間に100万円以上の利益を得たと回答した男性は7.5%、女性は6.3%です。
参考:一般社団法人金融先物取引業協会「外国為替証拠金取引の取引顧客における金融リテラシーに関する実態調査」
有名な専業トレーダーの中には、投資を始めてからわずか数年で、数千万~億の資産を築いた人もいます。
とはいえこういったケースは希であり、むしろFXで損をしている人も多いです。
関連記事:【損失あり】メキシコペソでスワップ積立投資|運用方法・実績・メリット・デメリットをブログで公開
Q.初心者がFX専業トレーダーになるまでの年数は?
FXを始めると、どのくらいの年数で専業トレーダーになれるのか、気になる方も多いと思います。
全ての人に当てはまる答えはありませんが、たとえ勝っていても、3年未満の方には専業トレーダーへの転身はおすすめしません。
短期間で大きな金額を稼ぐより、長い期間で安定的に利益を増やしていく能力が大切です。
その観点から言うと、4~5年経った時点で自分の給料を大きく上回る利益を出せているなら、それが専業トレーダーになる一つの目安となるでしょう。
Q.専業トレーダーになれるFX以外の投資方法は?
FX以外では、株式取引がメジャーです。
他にも商品先物取引や、差金決済取引(CFD)、株価指数先物取引などでデイトレードが行なわれます。
ただし専業トレーダーになるのは、決して簡単ではありません。
勉強する覚悟や大きな取引をする決断力が必要です。
【まとめ】FX専業トレーダーの年収の目安は1,000万円
FX専業トレーダーになるためには、年収として最低でも現在の倍は稼げることが必要だと言われています。
目安としては、年収で1,000万円ほど稼げていることが望ましいです。
いざというときに生活費をカバーするための、1〜2年分の貯蓄も用意しておきましょう。
これらの準備が整った上で、FXでの取引が自身の生活を支える唯一の収入源となることを考慮し、専業トレーダーになるか否かを決めてください。
専業トレーダーになるためには時間がかかりますが、それぞれのペースでコツコツと経験を積み上げましょう。
コメント